導入事例
【株式会社アークノハラ様】スマートグラス(シンクロアイズ)を導入した理由と使用した感想
株式会社アークノハラの社員の方に「シンクロアイズ」を導入した理由や、使用した感想をお伺いしました。インタビュアーは弊社武井です。 アークノハラ様にご協力いただいたのは工務本部工務二課の佐藤様です。 アークノハラさんの事業内容 武井:御社の事業内容を教えて下さい。 佐藤様:弊社はメーカーとして道路標識を製造しています。またそれに伴う設計から施工、販売まで一貫して行っています。工事はネクスコや東京都などの元請から下請まで弊社が請け負っています。道路標識の設計、製造及び材料販売の他に、遮音壁やフェンスなど道路周りの設備一式を取り扱っていて、部署は違いますが、小中学校の防球ネットやフェンスについても、アークノハラとして請け負っています。 武井:御社と出会ったのは、EE東北(建設業向けの新技術展示会)でしたね。 佐藤様:その時は、標識工事を元請で受注していて、準備段階の時期でした。弊社もEE東北に出展していたのですが、発注者からの条件に遠隔立ち会いの項目があった事もあり、情報収集も兼ねていました。 武井:今回受注した工事はどのような内容でしょうか。 佐藤様:今、標識工事を請け負っている区間は開通から50年以上経っていて、開通時に建てた標識板が劣化してきています。その交換が主ですが、所々で新しく建てる標識もあるので全体的な更新工事です。高速道路の標識は15~20年ほどで更新しますが、15年程度経過すると反射の機能が落ちたり汚れで見えなくなったりします。発注者側のメンテナンス担当の方が巡回して、その点検結果に応じて発注されるような形です。 シンクロアイズを導入した理由 武井:今回の工事を受注する際に、発注者側からの条件に遠隔臨場があったのですか? 佐藤様:発注の段階で、施工方法のルールを指定した特記仕様書というものがあり、そこに遠隔立会を検討するよう記載がありました。導入にあたり、検討する必要性があったので、弊社に合った遠隔立会の方法を探す必要がありました。 シンクロアイズを導入した決め手 武井:遠隔立会を検討する中で、何か他に気になる製品はありましたか? 佐藤様:発注者は胸ポケット型の製品を使っていたので、発注者が借りている機材を工事期間中に貸与いただいて、それを使った遠隔立会でもいいと言われていました。 武井:発注者側から貸してくれるという話があったにも関わらず、なぜ弊社の製品を選んでいただけたのですか? 佐藤様:その製品は手持ちサイズなのですが、胸ポケットに付けると垂れてしまい、画角をモニターで確認しようとすると片手がふさがってしまうので、1人では検測ができなくなります。別の工事では、発注者からその製品を借りているのですが、基本は定点で置いて使っているとの事でした。ただ、出来形検測で設計書通りにできているか数字を確認する時には、カメラを持つためにもう1人人員が必要になると聞いていたので、現場に人数を割けない弊社には合わないと感じました。 武井:導入の決め手は御社の業務に合っていたからですか? 佐藤様:はい。例えば標識を建てる基礎や杭のサイズを検査する時に、シンクロアイズをつけていても両手が使えます。手持ちタイプの製品で材料検査をやる場合は、1人がスケールを当てて、もう1人がカメラをその目盛りのところまで持っていくことになるので、遠隔臨場でも2人が必要になります。また胸ポケット型は画角が確認できません。シンクロアイズを使えばそれが1人でできて、自分で画角も確認できます。 シンクロアイズの活用事例 武井:具体的にどのように使っていますか? 佐藤様:今は主に材料検査の立会で使っています。現場に発注者側の施工管理担当の方が来ずに、遠隔で寸法の計測を行っています。現場立会による出来形検測も遠隔で行いました。それとは別に安全パトロールでも使用しています。 武井:安全パトロールでは、どういう事に使うのですか? 佐藤様:弊社の安全担当の者が、月に1回以上、複数人で確認対象の現場に来て、施工手順や安全管理などを確認しています。基本的に弊社は東京の新宿や埼玉の戸田が拠点になるので、そこから仙台の工事現場に安全担当が来ると、複数人の交通費や宿泊費が発生します。シンクロアイズを使うと現場に行く人数を抑えることができ、他の人達はZoomで確認できます。 武井:安全パトロールの担当の方は会社にいたままで、現地の社員の方にシンクロアイズをつけてもらって指示をしているのですね。 佐藤様:そうですね。現場の方がシンクロアイズをつけて、その人に見たいところを指示してもらって動き回るようなやり方です。安全パトロールの担当は何人かいて、例えば今までは3人で現場に来て確認していたことが、シンクロアイズを利用することで現場に来るのは1人で、他の担当はZoomで確認できるようになります。そうなると、2人分の交通費や宿泊費が削減できるので、非常に効果が高いです。 武井:動画を撮影されているようですが、どのように活用するのですか? 佐藤様:社内用に施工手順の動画を撮影しています。今は新設の道路が少なくなってきており、新規で標識を建てる工事があまりないのですが、今回は標識の新設工事が数箇所ありましたので、その時の施工手順を動画で撮影しておいて、編集して社内の勉強用の資料としています。新設の標識設置の経験がない若手のための教育用として重宝しています。 武井:一連の流れが分るような動画を作っておけば、将来同じようなケースがあったら見られる動画資産として、社内にノウハウが溜まっていくということですね。 佐藤様:あとは、工場で製品をつくっている方や、内務の担当の方は、自分が扱ったり発注したりしている標識板がどのように設置されるのか見る機会が多くありません。しかし、その人たちを現場に連れてきて研修させるにも交通費や宿泊費が発生しますし、現場に不慣れな人を現場に入れるのも危険です。なので、標識が設置される様子を録画しておけば、現場以外の社員も、自分たちが携わった仕事の行方が分かって業務に対する思い入れにもつなががるし、勉強会の資料としても役立ちます。 武井:撮影する際は、Zoomとして撮影していたのか、シンクロアイズ単独でビデオ録画していたのかどちらでしたか? 佐藤様:去年の導入したての時は、Zoomのホストを現場で立ち上げて録画をしていました。その後に、シンクロアイズで動画撮影ができることを知って、画質も良かったので、今はスマートグラス単体で録画して撮影したデータを、本体から取り出して使用しています。 シンクロアイズを導入したメリット 武井:他社ではなく、弊社の製品を導入したことでどのようなメリットがありましたか? 佐藤様:自分の映像が相手にどう映っているのか確認できるのが、やはり非常に大きなメリットです。あと、立会での材料検査をする際には、発注者様の担当の方に、弊社が借りている倉庫に来てもらうことになるのですが、今借りている倉庫と発注者様の事務所は往復で1時間半ほどかかります。例えば、立会の材料検査の時間を決めて、材料が早く入ってきて準備ができても、発注者様側の担当の方に予定より早く来てもらうことはできません。しかし、材料検査が遠隔でできるようになると、発注者様に倉庫に来てもらう必要がなくなり、事務所にいる方が対応していただけるので、予定より時間が早まっても合わせていただけます。その為、遠隔臨場を行うことで、弊社側も発注者様側も時間のロスをなくせるメリットがあります。 武井:発注者様の担当の方が現場に行かなくてもいいし、お互いに相手の時間に合わせなくても済むということですね。 佐藤様:現場で立会検査していただいている時に倉庫に材料が入ってきても、発注者様の事務所には別の担当者がいらっしゃるので遠隔立会ができます。今までは、発注者様側の担当の方が現場と倉庫にそれぞれ移動することになるので、現場での立会が終わったら、倉庫に行って材料検査ができるようなスケジュールを要望されていましたが、遠隔立会は倉庫への移動が必要なく、別の担当の方が対応できるということで、同時に行えるようになりました。 武井:遠隔立会ができると、立ち会う場所が2か所あっても、発注者様が2か所に行く必要がなくなるので、ある程度スケジュールが組みやすくなったということですね。 佐藤様:発注者様には弊社を担当している方が複数名いらっしゃるので、そのうちの1人でも事務所にいれば遠隔で対応していただけます。弊社だけでなく、発注者様にも非常に喜ばれております。 武井:シンクロアイズを利用することで、コスト面でのメリットはありますか? 佐藤様:例えば安全パトロールで現場に出向く人数を減らせるので、交通費と宿泊費が1回あたり5万円程度削減できます。 武井:もし、次の工事でも遠隔臨場をやるよう要望があった場合、費用面は別にして、シンクロアイズと他社製品を選べるとしたらどちらを選びますか? 佐藤様:自分だったらシンクロアイズを選びますね。 シンクロアイズ使用者の声 武井:使用感についての感想はありましたか? 佐藤様:Zoomのログインに関して特に不具合はないです。最初はスマートグラスを装着するのに違和感がありましたが、何回かやって慣れてきたようです。初めはスマートグラスの映像を見ている側は、画面のブレが気になったようですが、カメラ側の人がコツを掴んでくると気にならなくなりました。ただ、安全パトロールは長ければ5~6時間になることもあって、そうなると、wi-fiかシンクロアイズのどちらかのバッテリーが途中で切れてしまうので、モバイルバッテリーが必須です。この時、スマートフォンを充電するUSBのモバイルバッテリーを使うことができるのでその点も助かります。 武井:発注者は今まで別の製品を使っていて、今回からシンクロアイズのZoomに変わったことで何か言われていましたか? 佐藤様:シンクロアイズはURLを教えておけばいいので手間がなく、他社製品より動画や細かい数字が見やすいようです。場所の関係で他社製品では途切れることがあっても、シンクロアイズは途切れないと言われました。ZOOMの安定性が効果を発揮しているようですね。 武井:先に導入していた他社製品と比べて、シンクロアイズの性能は足り得るものでしたでしょうか。 佐藤様:シンクロアイズのほうが使いづらいという話は聞いてないです。 今後の展望 武井:今後、新人に業務を教える際、その新人にシンクロアイズをつけてもらうと、フォローする際にも役に立ちそうですか?それとも、ベテランの方が撮影した動画を、事前に見てもらった方が役に立ちそうですか? 佐藤様:まずはベテランの人が点検をしている様子を動画で撮って、それを事前に見たうえで、新人が装着してベテランがフォローするとより効果的だと思います。 武井:今までは説明動画がなかったからOJTで教えていたのですか? 佐藤様:新人と一緒に現場に行って現場作業をしたり、調査に同行したりしながら教えていました。説明動画をつくっておいて、その動画を見て覚えてもらうようにすることで、同行して教える労力は減ります。 武井:今までそのような説明動画を何個ぐらいつくりましたか? 佐藤様:完成している説明動画は1個だけですが、素材が集まっているのは3個ぐらいです。どれも施工関係の動画なので、今後増えると新人教育に役立つと思います。調査やその他の業務に関する動画素材はまだないのでこれから撮影していきたいと思います。 武井:今後、動画撮影をすることで施工や調査の作業手順動画など、動画マニュアルにすると役に立つと思われる動画は何本ぐらいになりそうでしょうか? 佐藤様:30本まではいかないと思いますが、施工の他に調査や測量などに関する動画もあると役に立つと思います。施工の動画の場合も、標識・ガードレール・防球ネットのどれを設置するのかによって手順や注意点が変わるので、その種類ごとに動画をつくりたいと思っています。 武井:最後に総括として、シンクロアイズを使った感想と今後の展望を教えてください。 佐藤様:弊社内でもデジタルの活用に取り組む部署もできています。業務のDX化を進めつつ、動画など文字以外の教材を増やしていきたいと思っています。今までは、人的な労力や時間がかかっていた業務が、シンクロアイズを使うことで上手に削減できて、さらに撮影している人が画角を確認できることで、正確な情報を伝えることが可能になるなど、DX化で作業効率改善の期待があります。 今は難しいDXツールもいろいろある中で、シンクロアイズは仕組みや操作方法がシンプルで、効果も分かりやすい“DXのはじめの1歩”で、他の社員にもメリットを感じてもらえる製品だと思います。 武井:今日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。 インタビュアー武井
【開成工業株式会社様】「シンクロアイズ」を通じた遠隔作業支援
開成工業株式会社の社員の方にスマートグラス(シンクロアイズ)を導入した理由や、使用した感想をお伺いしました。インタビュアーは弊社丸山です。開成工業様にご協力いただいたのは技術部の西口様です。 シンクロアイズを導入した理由 丸山: 本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まず、「シンクロアイズ」を導入した背景について教えてください。 西口様: ありがとうございます。当社は創業以来、水門、除塵機、水管橋等、鋼構造物の専門メーカーとして歩んでまいりました。専門性が高いので全国に弊社の製品が設置されています。 そのため、遠方の現場調査や設備メンテナンスが課題でした。広範囲にわたる現場をカバーする必要があるため、長距離の移動が頻繁に発生し、それに伴う人員の確保と時間が常に問題でした。また緊急時の迅速な対応が求められる場合、物理的な距離が大きな障壁となっていました。 丸山: 移動時間に関する具体的な課題はどのようなものがありましたか? 西口様: 時間と人員調整です。 本社は熊本にあるため、例えば滋賀県や兵庫県など移動だけで半日~1日を費やすことになります。また同じ九州エリア内であっても、鹿児島や熊本から離れた現場に行く場合、往復で6時間を要することがあります。 これに加えて、現場での作業時間が必要ですから近い場所でも1日がかりの作業となりがちでした。若手とベテラン技術者がそろって同行する必要があり、日程と人員の調整が大変でした。これが作業効率を大きく下げ、コスト増加を招いていました。 丸山: 移動時間の改善はどのように達成されましたか? 西口様: まずは出張する人数を減らすことができました。そして社内の連携が向上しました。 弊社は専門技術が多く、その中でも電気技術者と機械技術者といった具合に分かれています。「シンクロアイズ」を導入することで、遠隔でそれぞれの技術者の知識や技術を共有できるようになりました。今までは両方の技術者が現場に行く必要がありましたが、どちらか片方の技術者で対応ができるため、大幅な改善が見られました。 現場に行かずに、遠隔からリアルタイムで状況を確認し、指示を出すことができるようになったのです。 これにより、現場に行く人数を削減できました。具体的に言うと、鹿児島県屋久島 技術員1名2日分、滋賀県長浜市 技術員1名2日分、兵庫県西宮市鳴尾浜 技術員2名3日分が削減されました。 技術者は、行かなくても良くなっただけにとどまらず、その時間を他の重要な業務に割り当てることができ、大きな業務効率化が行えました。 シンクロアイズを導入した決め手 丸山: 「シンクロアイズ」を導入しようと思った具体的な決め手は何だったのでしょうか? 西口様: 安全面と視界共有です。 これまでのスマートフォンや電話を使った対応では、片手が塞がることで、安全面での配慮が必要でした。また技術者の視界と、スマホの撮影位置にズレが生じるため、状況を正確に把握しにくいという問題もありました。 「シンクロアイズ」はハンズフリーで使用できるため安全面が向上し、技術者の視界をリアルタイムで共有できるため、これらの課題を一挙に解決できる点が決め手となりました。 現場でシンクロアイズを使用し遠隔で作業をしている様子 シンクロアイズを導入したメリット 丸山: 導入後の使用感はいかがですか? 西口様: 現場側はケーブルをつなげるだけでやり取りが可能なため、すぐに使用できました。初めはスマートグラスの装着に少し違和感がありましたが、すぐに慣れました。 現場の状況をリアルタイムで捉えることができ、事務所からの指示もスムーズに出せるようになりました。特に現場と事務所間のコミュニケーションが格段に向上し、問題が発生した際の対応速度が大幅に改善されました。 導入後のサポート面でも、メーカーサポート窓口は丁寧な対応で満足しています。 現場でシンクロアイズを使用し遠隔で作業をしている様子 丸山: 若手の技術者教育における効果はありましたか? 西口様: 大きな効果があります。 以前は経験豊富なベテラン技術者が同行する必要がありましたが、今では「シンクロアイズ」を通じてリアルタイムで指示を出すことができるため、若手技術者も単独で対応できるようになりました。 これにより、若手技術者の責任感が増し、スキルアップにつながりました。また、若手技術者にとっても、現場での実践経験を積む機会が増え、成長のスピードが加速しています。 今後の展望 丸山: 今後の展望と、さらに「シンクロアイズ」を使いたい業務は何でしょうか? 西口様: 今後は「シンクロアイズ」の活用範囲をさらに広げていきたいと考えています。具体的には、ソフトを利用した故障診断、現地での試運転調整、検査立ち合い、遠隔での安全パトロールなどです。 特に安全パトロールにおいては、現場を歩き回る必要があるため、「バランスアイズ(ぶれないカメラ)」の追加導入を検討しています。現場が気を利かせて様々な箇所を撮影してくれますが、こちらから見ると映像がブレることがあり、画面酔いの問題がありました。これを解消するために「バランスアイズ」が非常に有効だと思います。 丸山: 最後に、まとめとして「シンクロアイズ」の導入による総合的な効果について教えてください。 西口様: 「シンクロアイズ」の導入により、移動時間とコストの削減が大幅に実現しました。遠方現場でも、リアルタイムでの状況把握と指示が可能になり、緊急時の対応も迅速になりました。また、若手技術者の教育にも非常に役立ち、責任感とスキルの向上が見られました。今後も「シンクロアイズ」を活用して、さらに効率的な作業環境を構築していきたいと考えています。 丸山: 本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に何かPRやお知らせがありましたらお願いします。 西口様: 「シンクロアイズ」は、当社の業務効率化だけでなく、技術者の育成にも大いに役立っています。 働き方改革が叫ばれている昨今、このようなITツールを積極的に導入し、社員が安心して働けるような環境を整えるとともに、弊社のお客様により良い製品を提供していきたいと思います。ありがとうございました。 丸山: 貴重なお話、ありがとうございました。開成工業株式会社様の今後のさらなるご活躍を期待しております。 インタビュアー丸山
【大阪ガスマーケティング株式会社様】スマートグラス(シンクロアイズ)を導入し活用できた理由と使用した感想
大阪ガスマーケティング株式会社の社員の方にスマートグラス(シンクロアイズ)を導入した理由や、使用した感想をお伺いしました。今回ご協力いただいたのはスマートグラス運営管理者の荒関さん、現場でスマートグラスの活用推進を担う木村さん、松岡さんの3名です。 荒関さん 松岡さん 木村さん スマートグラスを導入した理由 ――スマートグラスを使っていただいている業務内容を教えていただけますでしょうか? 荒関さん:弊社には給湯器やコンロ、家庭用燃料電池『エネファーム』など多ジャンルの家庭用ガス機器があります。それらのメンテナンス時に使用しています。 ――スマートグラスを導入された背景を教えていただけますでしょうか? 荒関さん:新人育成や現場対応を効率的にサポートする必要があると認識していました。コロナ禍で、若手メンバーにベテラン技術者が同行し、現場OJTを行うことが難しい状況となったこともあり、現場への出動人数を減らすためにもスマートグラスの活用を考えました。スマートグラス活用によって、現場対応の在り方を変えたいという意図もあり、導入しました。 ――スマートグラスの存在はご存じでしたか? 荒関さん:はい、以前より知っていました。実は、数年前に一度試行をしたこともあります。しかし、当時は映像が粗かったり、スマートグラス自体が重い、準備が大変…など、我々の現場には馴染みにくいと感じました。そのうえ、高コストであったこともあり、導入を見送った経緯があります。その後、コロナ禍をきっかけに、Zoomなどオンラインツールの活用が急速に定着したこともあり、改めて現場導入できないかと考え、再検討しました。 ――スマートグラスを使いたいと思った理由は他にもありますか? 荒関さん:現場同行によるOJTありきの人材育成や技能伝承のやり方は、ベテラン技術者に無理な負担を強いる懸念があったからです。また、現場業務の効率化を考えると、スマートグラスは有効であると思いました。 ――シンクロアイズ導入の決め手はなんですか? 決め手となったのは、ケーブルを接続するだけでやり取りが始まるように、現場側での準備・負担が少なかったことです。また、私たちも使い慣れたzoomがベースになっており、現場担当者にわかりやすかったことが大きな要因です。 スマートグラスを使用するメリット ――利用用途は何ですか? 荒関さん:スマートグラスの主な用途は三つあります。 一つ目は、メンテナンス業務です。トラブル時などに、ベテラン技術者が事務所で後方支援しています。二つ目は、経験の浅い現場担当者や、弊社社員の新人育成で使用しています。現場に向かう担当者も送り出すベテラン技術者も心理的に安心です。三つ目は、現場を複数人が確認する必要があるケースです。例えば、困難な重故障の対応において、現場にいる担当者だけでなく、複数人で総合的に確認するケースがあり、スマートグラスを活用することがあります。 ――現場に行くことと比べ、スマートグラスの使用で確認すべきことのどれくらいをカバーできていますか? 松岡さん:視覚情報に関しては8割程度カバー出来ていると思います。異常を音で判別するケースでは、微細な音でスマートグラスではノイズとして処理されてしまうことや触診による感覚の確認などカバー出来ない場合もありますが、確認すべき情報は概ね把握できます。 ――例えば10件のうち、2、3件はスマートグラスではカバーしきれず現場に行くこともあるのでしょうか? 松岡さん:故障部位は、概ね判断できます。部品交換などの実作業のところで、部品が外れないなどの物理的なトラブルや、技術面でサポートが必要になる場合は現場に出向くことがありますが、その場合においてもスマートグラスで現場の情報を事前に知ることができ、充分な準備ができるため、役立っていると感じています。 荒関さん:給湯器の故障は、お客さまがお湯を使えずご不便をお掛けしていますので、特に早急に修理しなければいけないという気持ちもあります。そのため、粘ってスマートグラスで解決するというよりも、部品交換などの物理的なトラブルは現場に行くケースはありますね。とはいえ、スマートグラスがあることによって、現場対応を抑制するものとして役に立っており、現場対応とスマートグラスをハイブリットに使い分けています。 ――スマートグラスがない場合、解決にもっと時間がかかるということですか? 荒関さん:電話問合せだけでは、現場で発生している状況を正しく把握しきれないことが、どうしても出てきます。スマートグラスを活用することによって、短時間で正確に判断することができるので、大変役立っています。 シンクロアイズ使用者の声 ――弊社スマートグラス「シンクロアイズ」を使用して思った率直な感想をお聞かせください。 木村さん:使い方はすごくシンプルで簡単だと思います。使い方も一度説明したら理解していただけますね。スマートグラスを準備してバッテリーをつないでもらう。そして、ホスト側パソコンの準備ができたら自動的につながるので、電波環境に問題がなければ簡単に使えると思いました。 御社のスマートグラスはzoomを活用されており、接続している全員に視覚情報を伝達できるところもいいですね。見る目が多いほど、気づきがたくさんあるからです。以前、給湯器の不具合対応の際、工事の不備が見つかったケースがありました。想定外の不備があった場合、電話での説明ではわからなかったと思います。現場で見たらすぐ判断できることでも電話での説明だけでは難しいこともあるので、映像があって視覚情報を得られることは、とても助かっています。 実は、今日もスマートグラスを使用する予定なんです。事務所にいる上司にも一緒に現場確認してもらいます。 現場の状況写真が後日必要になるケースもあるのですが、的確な写真を撮るべく、事務所からの指示をもらいながら現場で私がリアルタイムで動いて、必要な写真を確認しながら対応できますので、やり取りが少なく済みます。 武井:使用頻度が少なくても、ここ一番の重要なポイントで役立てば十分な効果が得られていますね。 ――松岡さんはどのような感想を持ちましたか? 松岡さん:電話で分かる情報と比べて、視覚で得られる情報はすぐに状況が分かることが大きなメリットです。電話だけでは、どこでどのように困っているのかがわからない時があります。例えばパイプが外れないと言われても、パイプはたくさんあるのでどのパイプが外れないのか分かりません。スマートグラスで視界を共有することで、すぐにどのパイプなのかを判別することができます。 スマートフォンのビデオ電話では現場担当者の視点とカメラがリンクしないので、現場担当者が実際にどこを見ているのか分かりづらかったです。スマートグラスであれば、どこを見ながら作業しているのかが分かるので、サポートしやすいですね。 新人育成の面でも、ベテラン技術者と現場同行すると新人がどうしても頼りがちです。新人の早期育成のためにも、遠隔でサポートする方が向いているケースもあると思います。1人でやり切って経験値を積んでもらいたいですし、サポートする側としてもしっかり支援ができる点がいいと思いますね。 ――電話で説明すると時間がかかってしまう対応が、スマートグラスを使用することでどのくらいの時間の短縮になりますか? 松岡さん:電話問合せだけの対応を行うと、3時間程度かかる作業があったのですが、スマートグラスを使えばおよそ1時間で終わりました。スマートグラスを使うことによって、ちょっとした作業ミスにこちら側で早く気付くことができるのでミスをなくすことができ、時間の短縮になります。 ――ベテラン技術者が現場に同行した場合とスマートグラスを使用して遠隔で指示を受けながら新人が1人で作業を行った場合、新人の経験値はどちらのほうが高く積めそうですか? 木村さん:新人が経験を積むうえでは本人で解決することが一番です。そういう意味では、ベテラン技術者による同行ではなく遠隔サポートをしながら新人担当者自らが完結させるほうが経験値を高く積めると考えています。ですので、遠隔でサポートする環境を整えたうえで、安心感をもって現場に向かわせるようにしています。スマートグラスがあることで、サポート側の不安も解消できますね。 武井:自分でやりきることで技術もより効率的に向上して、なおかつ双方の不安も解消できてまさにお互いがwin-winですね! ――現場の新人がスマートグラスを付けて作業することに関して何か感想は聞いていますか? 松岡さん:スマートグラスのおかげで解決できないトラブルを解決でき、自信が深まったという声を聞きました。落ち着いて作業ができる安心感もあるようです。 ――現場の新人がスマートグラスを使うタイミングを教えてください。現場に持っていく時点で使用すると分かっているのか、トラブルが起きたときのために持っていくのかどちらでしょうか? 木村さん:後者の場合が多いですね。実際は作業の最初から最後まで通してスマートグラスを使用することはあまりなく、故障診断時や不安な作業場面の際に使用します。 確認・サポートしてほしいところがあると言われると、こちらは準備して待機します。その後、連絡がありサポートを開始しますが、10分ほど確認して終わりというときもあります。“もしかしたら必要になるかもしれない”と、不安があるときに持ち出してもらいます。お守りみたいなものですね。 ――現場の新人が作業前に作業内容を説明して、確認してほしいところを伝えるということでしょうか?新人側は作業も見てほしいし、木村さん側も作業を確認したいから使用するのですか? 木村さん:もちろんその場合もあります。見てほしいと思うときや必要だと思うときは自己判断で連絡するよう、現場担当者本人に任せていますね。使う場面を限定するのはなく、臨機応変に使い分けています。 ――荒関さん、運営側から見てスマートグラスの評価を教えていただけますでしょうか? 荒関さん:使い勝手の良さが評価できます。将来的には、遠隔でサポートできる範囲を更に拡大できればより効率化が図れると感じています。 ――トライアルの時点で気にされる方が多いのですが、スマートグラスの画面の揺れは気になりますか?カメラ酔いを感じますか? 木村さん:当初は、スマートグラスを掛けている人の問題で揺れが気になったこともありましたが、本体のフレームに眼鏡用の固定具をつけるなど、ズレないような工夫をすれば問題ないと思います。 松岡さん:画面を凝視すると揺れが気になることはあると思いますが、見る側の慣れもあります。画面から少し離れてみるなど、慣れてくると気にならないと思いますね。 スマートグラスの使用に踏み切ったきっかけと定着した理由 ――スマートグラスの必要性を伝えても導入に踏み切れない企業が多い中で、御社は必要性に気付いて導入しようと思われた要因はなんでしょうか? 荒関さん:これまで培った現場力をどう活かすのかを考えるマインドが醸成できていたからだと思います。チャレンジを後押しする社風もあると思います。 ――御社でスマートグラスが定着したポイントはどこにあると考えますか? 荒関さん:弊社でもスマートグラスを100人中100人が評価しているわけではありませんし、実際に現場に出向いた方が優位な面も当然あります。 しかし、リソースが潤沢にない状況も想定しておく必要もあり、スマートグラスを便利なツール、“1つの手段“と位置づけること、適材適所で使うと便利なものであることを現場の担当者はもとより、管理監督者も意識をもって取り組んでくれたことだと思います。 まずは、スマートグラスを試してみるという、最初のハードルを低くすることも必要な要素だと思います。 まとめ 大阪ガスマーケティング株式会社様は新しいチャレンジを後押しする社風があり、将来のことを見据えてスマートグラスを導入されました。使い方を工夫しながら新しい技術を取り入れることで、業務の効率化と強みである現場力の強化、継承をされていると感じました。 弊社シンクロアイズもスマートグラスを通じてお役立ちできる事を嬉しく思い、今後もより一層のサービス向上を行っていきたいと思います。