【大阪ガスマーケティング株式会社様】スマートグラス(シンクロアイズ)を導入し活用できた理由と使用した感想
大阪ガスマーケティング株式会社の社員の方にスマートグラス(シンクロアイズ)を導入した理由や、使用した感想をお伺いしました。今回ご協力いただいたのはスマートグラス運営管理者の荒関さん、現場でスマートグラスの活用推進を担う木村さん、松岡さんの3名です。
荒関さん 松岡さん 木村さん
スマートグラスを導入した理由
――スマートグラスを使っていただいている業務内容を教えていただけますでしょうか?
荒関さん:弊社には給湯器やコンロ、家庭用燃料電池『エネファーム』など多ジャンルの家庭用ガス機器があります。それらのメンテナンス時に使用しています。
――スマートグラスを導入された背景を教えていただけますでしょうか?
荒関さん:新人育成や現場対応を効率的にサポートする必要があると認識していました。コロナ禍で、若手メンバーにベテラン技術者が同行し、現場OJTを行うことが難しい状況となったこともあり、現場への出動人数を減らすためにもスマートグラスの活用を考えました。スマートグラス活用によって、現場対応の在り方を変えたいという意図もあり、導入しました。
――スマートグラスの存在はご存じでしたか?
荒関さん:はい、以前より知っていました。実は、数年前に一度試行をしたこともあります。しかし、当時は映像が粗かったり、スマートグラス自体が重い、準備が大変…など、我々の現場には馴染みにくいと感じました。そのうえ、高コストであったこともあり、導入を見送った経緯があります。その後、コロナ禍をきっかけに、Zoomなどオンラインツールの活用が急速に定着したこともあり、改めて現場導入できないかと考え、再検討しました。
――スマートグラスを使いたいと思った理由は他にもありますか?
荒関さん:現場同行によるOJTありきの人材育成や技能伝承のやり方は、ベテラン技術者に無理な負担を強いる懸念があったからです。また、現場業務の効率化を考えると、スマートグラスは有効であると思いました。
――シンクロアイズ導入の決め手はなんですか?
決め手となったのは、ケーブルを接続するだけでやり取りが始まるように、現場側での準備・負担が少なかったことです。また、私たちも使い慣れたzoomがベースになっており、現場担当者にわかりやすかったことが大きな要因です。
スマートグラスを使用するメリット
――利用用途は何ですか?
荒関さん:スマートグラスの主な用途は三つあります。
一つ目は、メンテナンス業務です。トラブル時などに、ベテラン技術者が事務所で後方支援しています。二つ目は、経験の浅い現場担当者や、弊社社員の新人育成で使用しています。現場に向かう担当者も送り出すベテラン技術者も心理的に安心です。三つ目は、現場を複数人が確認する必要があるケースです。例えば、困難な重故障の対応において、現場にいる担当者だけでなく、複数人で総合的に確認するケースがあり、スマートグラスを活用することがあります。
――現場に行くことと比べ、スマートグラスの使用で確認すべきことのどれくらいをカバーできていますか?
松岡さん:視覚情報に関しては8割程度カバー出来ていると思います。異常を音で判別するケースでは、微細な音でスマートグラスではノイズとして処理されてしまうことや触診による感覚の確認などカバー出来ない場合もありますが、確認すべき情報は概ね把握できます。
――例えば10件のうち、2、3件はスマートグラスではカバーしきれず現場に行くこともあるのでしょうか?
松岡さん:故障部位は、概ね判断できます。部品交換などの実作業のところで、部品が外れないなどの物理的なトラブルや、技術面でサポートが必要になる場合は現場に出向くことがありますが、その場合においてもスマートグラスで現場の情報を事前に知ることができ、充分な準備ができるため、役立っていると感じています。
荒関さん:給湯器の故障は、お客さまがお湯を使えずご不便をお掛けしていますので、特に早急に修理しなければいけないという気持ちもあります。そのため、粘ってスマートグラスで解決するというよりも、部品交換などの物理的なトラブルは現場に行くケースはありますね。とはいえ、スマートグラスがあることによって、現場対応を抑制するものとして役に立っており、現場対応とスマートグラスをハイブリットに使い分けています。
――スマートグラスがない場合、解決にもっと時間がかかるということですか?
荒関さん:電話問合せだけでは、現場で発生している状況を正しく把握しきれないことが、どうしても出てきます。スマートグラスを活用することによって、短時間で正確に判断することができるので、大変役立っています。
シンクロアイズ使用者の声
――弊社スマートグラス「シンクロアイズ」を使用して思った率直な感想をお聞かせください。
木村さん:使い方はすごくシンプルで簡単だと思います。使い方も一度説明したら理解していただけますね。スマートグラスを準備してバッテリーをつないでもらう。そして、ホスト側パソコンの準備ができたら自動的につながるので、電波環境に問題がなければ簡単に使えると思いました。
御社のスマートグラスはzoomを活用されており、接続している全員に視覚情報を伝達できるところもいいですね。見る目が多いほど、気づきがたくさんあるからです。以前、給湯器の不具合対応の際、工事の不備が見つかったケースがありました。想定外の不備があった場合、電話での説明ではわからなかったと思います。現場で見たらすぐ判断できることでも電話での説明だけでは難しいこともあるので、映像があって視覚情報を得られることは、とても助かっています。
実は、今日もスマートグラスを使用する予定なんです。事務所にいる上司にも一緒に現場確認してもらいます。
現場の状況写真が後日必要になるケースもあるのですが、的確な写真を撮るべく、事務所からの指示をもらいながら現場で私がリアルタイムで動いて、必要な写真を確認しながら対応できますので、やり取りが少なく済みます。
武井:使用頻度が少なくても、ここ一番の重要なポイントで役立てば十分な効果が得られていますね。
――松岡さんはどのような感想を持ちましたか?
松岡さん:電話で分かる情報と比べて、視覚で得られる情報はすぐに状況が分かることが大きなメリットです。電話だけでは、どこでどのように困っているのかがわからない時があります。例えばパイプが外れないと言われても、パイプはたくさんあるのでどのパイプが外れないのか分かりません。スマートグラスで視界を共有することで、すぐにどのパイプなのかを判別することができます。
スマートフォンのビデオ電話では現場担当者の視点とカメラがリンクしないので、現場担当者が実際にどこを見ているのか分かりづらかったです。スマートグラスであれば、どこを見ながら作業しているのかが分かるので、サポートしやすいですね。
新人育成の面でも、ベテラン技術者と現場同行すると新人がどうしても頼りがちです。新人の早期育成のためにも、遠隔でサポートする方が向いているケースもあると思います。1人でやり切って経験値を積んでもらいたいですし、サポートする側としてもしっかり支援ができる点がいいと思いますね。
――電話で説明すると時間がかかってしまう対応が、スマートグラスを使用することでどのくらいの時間の短縮になりますか?
松岡さん:電話問合せだけの対応を行うと、3時間程度かかる作業があったのですが、スマートグラスを使えばおよそ1時間で終わりました。スマートグラスを使うことによって、ちょっとした作業ミスにこちら側で早く気付くことができるのでミスをなくすことができ、時間の短縮になります。
――ベテラン技術者が現場に同行した場合とスマートグラスを使用して遠隔で指示を受けながら新人が1人で作業を行った場合、新人の経験値はどちらのほうが高く積めそうですか?
木村さん:新人が経験を積むうえでは本人で解決することが一番です。そういう意味では、ベテラン技術者による同行ではなく遠隔サポートをしながら新人担当者自らが完結させるほうが経験値を高く積めると考えています。ですので、遠隔でサポートする環境を整えたうえで、安心感をもって現場に向かわせるようにしています。スマートグラスがあることで、サポート側の不安も解消できますね。
武井:自分でやりきることで技術もより効率的に向上して、なおかつ双方の不安も解消できてまさにお互いがwin-winですね!
――現場の新人がスマートグラスを付けて作業することに関して何か感想は聞いていますか?
松岡さん:スマートグラスのおかげで解決できないトラブルを解決でき、自信が深まったという声を聞きました。落ち着いて作業ができる安心感もあるようです。
――現場の新人がスマートグラスを使うタイミングを教えてください。現場に持っていく時点で使用すると分かっているのか、トラブルが起きたときのために持っていくのかどちらでしょうか?
木村さん:後者の場合が多いですね。実際は作業の最初から最後まで通してスマートグラスを使用することはあまりなく、故障診断時や不安な作業場面の際に使用します。
確認・サポートしてほしいところがあると言われると、こちらは準備して待機します。その後、連絡がありサポートを開始しますが、10分ほど確認して終わりというときもあります。“もしかしたら必要になるかもしれない”と、不安があるときに持ち出してもらいます。お守りみたいなものですね。
――現場の新人が作業前に作業内容を説明して、確認してほしいところを伝えるということでしょうか?新人側は作業も見てほしいし、木村さん側も作業を確認したいから使用するのですか?
木村さん:もちろんその場合もあります。見てほしいと思うときや必要だと思うときは自己判断で連絡するよう、現場担当者本人に任せていますね。使う場面を限定するのはなく、臨機応変に使い分けています。
――荒関さん、運営側から見てスマートグラスの評価を教えていただけますでしょうか?
荒関さん:使い勝手の良さが評価できます。将来的には、遠隔でサポートできる範囲を更に拡大できればより効率化が図れると感じています。
――トライアルの時点で気にされる方が多いのですが、スマートグラスの画面の揺れは気になりますか?カメラ酔いを感じますか?
木村さん:当初は、スマートグラスを掛けている人の問題で揺れが気になったこともありましたが、本体のフレームに眼鏡用の固定具をつけるなど、ズレないような工夫をすれば問題ないと思います。
松岡さん:画面を凝視すると揺れが気になることはあると思いますが、見る側の慣れもあります。画面から少し離れてみるなど、慣れてくると気にならないと思いますね。
スマートグラスの使用に踏み切ったきっかけと定着した理由
――スマートグラスの必要性を伝えても導入に踏み切れない企業が多い中で、御社は必要性に気付いて導入しようと思われた要因はなんでしょうか?
荒関さん:これまで培った現場力をどう活かすのかを考えるマインドが醸成できていたからだと思います。チャレンジを後押しする社風もあると思います。
――御社でスマートグラスが定着したポイントはどこにあると考えますか?
荒関さん:弊社でもスマートグラスを100人中100人が評価しているわけではありませんし、実際に現場に出向いた方が優位な面も当然あります。
しかし、リソースが潤沢にない状況も想定しておく必要もあり、スマートグラスを便利なツール、“1つの手段“と位置づけること、適材適所で使うと便利なものであることを現場の担当者はもとより、管理監督者も意識をもって取り組んでくれたことだと思います。
まずは、スマートグラスを試してみるという、最初のハードルを低くすることも必要な要素だと思います。
まとめ
大阪ガスマーケティング株式会社様は新しいチャレンジを後押しする社風があり、将来のことを見据えてスマートグラスを導入されました。使い方を工夫しながら新しい技術を取り入れることで、業務の効率化と強みである現場力の強化、継承をされていると感じました。
弊社シンクロアイズもスマートグラスを通じてお役立ちできる事を嬉しく思い、今後もより一層のサービス向上を行っていきたいと思います。