【株式会社アークノハラ様】スマートグラス(シンクロアイズ)を導入した理由と使用した感想
株式会社アークノハラの社員の方に「シンクロアイズ」を導入した理由や、使用した感想をお伺いしました。インタビュアーは弊社武井です。 | |
アークノハラ様にご協力いただいたのは工務本部工務二課の佐藤様です。 |
アークノハラさんの事業内容
武井:御社の事業内容を教えて下さい。
佐藤様:弊社はメーカーとして道路標識を製造しています。またそれに伴う設計から施工、販売まで一貫して行っています。工事はネクスコや東京都などの元請から下請まで弊社が請け負っています。道路標識の設計、製造及び材料販売の他に、遮音壁やフェンスなど道路周りの設備一式を取り扱っていて、部署は違いますが、小中学校の防球ネットやフェンスについても、アークノハラとして請け負っています。
武井:御社と出会ったのは、EE東北(建設業向けの新技術展示会)でしたね。
佐藤様:その時は、標識工事を元請で受注していて、準備段階の時期でした。弊社もEE東北に出展していたのですが、発注者からの条件に遠隔立ち会いの項目があった事もあり、情報収集も兼ねていました。
武井:今回受注した工事はどのような内容でしょうか。
佐藤様:今、標識工事を請け負っている区間は開通から50年以上経っていて、開通時に建てた標識板が劣化してきています。その交換が主ですが、所々で新しく建てる標識もあるので全体的な更新工事です。高速道路の標識は15~20年ほどで更新しますが、15年程度経過すると反射の機能が落ちたり汚れで見えなくなったりします。発注者側のメンテナンス担当の方が巡回して、その点検結果に応じて発注されるような形です。
シンクロアイズを導入した理由
武井:今回の工事を受注する際に、発注者側からの条件に遠隔臨場があったのですか?
佐藤様:発注の段階で、施工方法のルールを指定した特記仕様書というものがあり、そこに遠隔立会を検討するよう記載がありました。導入にあたり、検討する必要性があったので、弊社に合った遠隔立会の方法を探す必要がありました。
シンクロアイズを導入した決め手
武井:遠隔立会を検討する中で、何か他に気になる製品はありましたか?
佐藤様:発注者は胸ポケット型の製品を使っていたので、発注者が借りている機材を工事期間中に貸与いただいて、それを使った遠隔立会でもいいと言われていました。
武井:発注者側から貸してくれるという話があったにも関わらず、なぜ弊社の製品を選んでいただけたのですか?
佐藤様:その製品は手持ちサイズなのですが、胸ポケットに付けると垂れてしまい、画角をモニターで確認しようとすると片手がふさがってしまうので、1人では検測ができなくなります。別の工事では、発注者からその製品を借りているのですが、基本は定点で置いて使っているとの事でした。ただ、出来形検測で設計書通りにできているか数字を確認する時には、カメラを持つためにもう1人人員が必要になると聞いていたので、現場に人数を割けない弊社には合わないと感じました。
武井:導入の決め手は御社の業務に合っていたからですか?
佐藤様:はい。例えば標識を建てる基礎や杭のサイズを検査する時に、シンクロアイズをつけていても両手が使えます。手持ちタイプの製品で材料検査をやる場合は、1人がスケールを当てて、もう1人がカメラをその目盛りのところまで持っていくことになるので、遠隔臨場でも2人が必要になります。また胸ポケット型は画角が確認できません。シンクロアイズを使えばそれが1人でできて、自分で画角も確認できます。
シンクロアイズの活用事例
武井:具体的にどのように使っていますか?
佐藤様:今は主に材料検査の立会で使っています。現場に発注者側の施工管理担当の方が来ずに、遠隔で寸法の計測を行っています。現場立会による出来形検測も遠隔で行いました。それとは別に安全パトロールでも使用しています。
武井:安全パトロールでは、どういう事に使うのですか?
佐藤様:弊社の安全担当の者が、月に1回以上、複数人で確認対象の現場に来て、施工手順や安全管理などを確認しています。基本的に弊社は東京の新宿や埼玉の戸田が拠点になるので、そこから仙台の工事現場に安全担当が来ると、複数人の交通費や宿泊費が発生します。シンクロアイズを使うと現場に行く人数を抑えることができ、他の人達はZoomで確認できます。
武井:安全パトロールの担当の方は会社にいたままで、現地の社員の方にシンクロアイズをつけてもらって指示をしているのですね。
佐藤様:そうですね。現場の方がシンクロアイズをつけて、その人に見たいところを指示してもらって動き回るようなやり方です。安全パトロールの担当は何人かいて、例えば今までは3人で現場に来て確認していたことが、シンクロアイズを利用することで現場に来るのは1人で、他の担当はZoomで確認できるようになります。そうなると、2人分の交通費や宿泊費が削減できるので、非常に効果が高いです。
武井:動画を撮影されているようですが、どのように活用するのですか?
佐藤様:社内用に施工手順の動画を撮影しています。今は新設の道路が少なくなってきており、新規で標識を建てる工事があまりないのですが、今回は標識の新設工事が数箇所ありましたので、その時の施工手順を動画で撮影しておいて、編集して社内の勉強用の資料としています。新設の標識設置の経験がない若手のための教育用として重宝しています。
武井:一連の流れが分るような動画を作っておけば、将来同じようなケースがあったら見られる動画資産として、社内にノウハウが溜まっていくということですね。
佐藤様:あとは、工場で製品をつくっている方や、内務の担当の方は、自分が扱ったり発注したりしている標識板がどのように設置されるのか見る機会が多くありません。しかし、その人たちを現場に連れてきて研修させるにも交通費や宿泊費が発生しますし、現場に不慣れな人を現場に入れるのも危険です。なので、標識が設置される様子を録画しておけば、現場以外の社員も、自分たちが携わった仕事の行方が分かって業務に対する思い入れにもつなががるし、勉強会の資料としても役立ちます。
武井:撮影する際は、Zoomとして撮影していたのか、シンクロアイズ単独でビデオ録画していたのかどちらでしたか?
佐藤様:去年の導入したての時は、Zoomのホストを現場で立ち上げて録画をしていました。その後に、シンクロアイズで動画撮影ができることを知って、画質も良かったので、今はスマートグラス単体で録画して撮影したデータを、本体から取り出して使用しています。
シンクロアイズを導入したメリット
武井:他社ではなく、弊社の製品を導入したことでどのようなメリットがありましたか?
佐藤様:自分の映像が相手にどう映っているのか確認できるのが、やはり非常に大きなメリットです。あと、立会での材料検査をする際には、発注者様の担当の方に、弊社が借りている倉庫に来てもらうことになるのですが、今借りている倉庫と発注者様の事務所は往復で1時間半ほどかかります。例えば、立会の材料検査の時間を決めて、材料が早く入ってきて準備ができても、発注者様側の担当の方に予定より早く来てもらうことはできません。しかし、材料検査が遠隔でできるようになると、発注者様に倉庫に来てもらう必要がなくなり、事務所にいる方が対応していただけるので、予定より時間が早まっても合わせていただけます。その為、遠隔臨場を行うことで、弊社側も発注者様側も時間のロスをなくせるメリットがあります。
武井:発注者様の担当の方が現場に行かなくてもいいし、お互いに相手の時間に合わせなくても済むということですね。
佐藤様:現場で立会検査していただいている時に倉庫に材料が入ってきても、発注者様の事務所には別の担当者がいらっしゃるので遠隔立会ができます。今までは、発注者様側の担当の方が現場と倉庫にそれぞれ移動することになるので、現場での立会が終わったら、倉庫に行って材料検査ができるようなスケジュールを要望されていましたが、遠隔立会は倉庫への移動が必要なく、別の担当の方が対応できるということで、同時に行えるようになりました。
武井:遠隔立会ができると、立ち会う場所が2か所あっても、発注者様が2か所に行く必要がなくなるので、ある程度スケジュールが組みやすくなったということですね。
佐藤様:発注者様には弊社を担当している方が複数名いらっしゃるので、そのうちの1人でも事務所にいれば遠隔で対応していただけます。弊社だけでなく、発注者様にも非常に喜ばれております。
武井:シンクロアイズを利用することで、コスト面でのメリットはありますか?
佐藤様:例えば安全パトロールで現場に出向く人数を減らせるので、交通費と宿泊費が1回あたり5万円程度削減できます。
武井:もし、次の工事でも遠隔臨場をやるよう要望があった場合、費用面は別にして、シンクロアイズと他社製品を選べるとしたらどちらを選びますか?
佐藤様:自分だったらシンクロアイズを選びますね。
シンクロアイズ使用者の声
武井:使用感についての感想はありましたか?
佐藤様:Zoomのログインに関して特に不具合はないです。最初はスマートグラスを装着するのに違和感がありましたが、何回かやって慣れてきたようです。初めはスマートグラスの映像を見ている側は、画面のブレが気になったようですが、カメラ側の人がコツを掴んでくると気にならなくなりました。ただ、安全パトロールは長ければ5~6時間になることもあって、そうなると、wi-fiかシンクロアイズのどちらかのバッテリーが途中で切れてしまうので、モバイルバッテリーが必須です。この時、スマートフォンを充電するUSBのモバイルバッテリーを使うことができるのでその点も助かります。
武井:発注者は今まで別の製品を使っていて、今回からシンクロアイズのZoomに変わったことで何か言われていましたか?
佐藤様:シンクロアイズはURLを教えておけばいいので手間がなく、他社製品より動画や細かい数字が見やすいようです。場所の関係で他社製品では途切れることがあっても、シンクロアイズは途切れないと言われました。ZOOMの安定性が効果を発揮しているようですね。
武井:先に導入していた他社製品と比べて、シンクロアイズの性能は足り得るものでしたでしょうか。
佐藤様:シンクロアイズのほうが使いづらいという話は聞いてないです。
今後の展望
武井:今後、新人に業務を教える際、その新人にシンクロアイズをつけてもらうと、フォローする際にも役に立ちそうですか?それとも、ベテランの方が撮影した動画を、事前に見てもらった方が役に立ちそうですか?
佐藤様:まずはベテランの人が点検をしている様子を動画で撮って、それを事前に見たうえで、新人が装着してベテランがフォローするとより効果的だと思います。
武井:今までは説明動画がなかったからOJTで教えていたのですか?
佐藤様:新人と一緒に現場に行って現場作業をしたり、調査に同行したりしながら教えていました。説明動画をつくっておいて、その動画を見て覚えてもらうようにすることで、同行して教える労力は減ります。
武井:今までそのような説明動画を何個ぐらいつくりましたか?
佐藤様:完成している説明動画は1個だけですが、素材が集まっているのは3個ぐらいです。どれも施工関係の動画なので、今後増えると新人教育に役立つと思います。調査やその他の業務に関する動画素材はまだないのでこれから撮影していきたいと思います。
武井:今後、動画撮影をすることで施工や調査の作業手順動画など、動画マニュアルにすると役に立つと思われる動画は何本ぐらいになりそうでしょうか?
佐藤様:30本まではいかないと思いますが、施工の他に調査や測量などに関する動画もあると役に立つと思います。施工の動画の場合も、標識・ガードレール・防球ネットのどれを設置するのかによって手順や注意点が変わるので、その種類ごとに動画をつくりたいと思っています。
武井:最後に総括として、シンクロアイズを使った感想と今後の展望を教えてください。
佐藤様:弊社内でもデジタルの活用に取り組む部署もできています。業務のDX化を進めつつ、動画など文字以外の教材を増やしていきたいと思っています。今までは、人的な労力や時間がかかっていた業務が、シンクロアイズを使うことで上手に削減できて、さらに撮影している人が画角を確認できることで、正確な情報を伝えることが可能になるなど、DX化で作業効率改善の期待があります。
今は難しいDXツールもいろいろある中で、シンクロアイズは仕組みや操作方法がシンプルで、効果も分かりやすい“DXのはじめの1歩”で、他の社員にもメリットを感じてもらえる製品だと思います。
武井:今日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
インタビュアー武井